肉の脂身で太るは迷信?飽和脂肪酸をめぐる「体に悪い説」の誤解を科学的に解く
「お肉の脂身は太るから切り落とす」「バターは体に悪いからマーガリンにする」……。 健康やダイエットを意識する際、真っ先に敵役にされがちなのが飽和脂肪酸です。
しかし、最新の栄養科学では、この「飽和脂肪酸=悪」という常識が揺らぎ始めています。今回は、私たちが誤解しがちな「脂身の真実」を科学的な視点で解き明かしていきます。
1. 「飽和脂肪は他の油より太りやすい」は本当か?
「動物性の脂は固まりやすいから、体の中でも固まって脂肪になりやすい」という話を聞いたことはありませんか?実はこれ、科学的な根拠はほとんどありません。
代謝や食欲への影響は「中立」
最新の研究では、飽和脂肪酸(バターや肉の脂)が、不飽和脂肪酸(オリーブオイルや魚の油)に比べて極端に太りやすかったり、満腹感を得にくかったりするという証拠は見つかっていません。
同じカロリーであれば、どの種類の脂質を摂っても、代謝のスピードやその後の食欲に大きな差は出ないことが分かっています。
2. 体型への影響:筋肉は減り、体脂肪は増えるのか?
「脂っこいものを食べると筋肉が落ちて脂肪がつく」というイメージも根強いですが、これも正確ではありません。
脂肪の種類よりも「トータルの質」
飽和脂肪を摂取したからといって、他の脂肪を摂取した場合と比較して、特異的に筋肉が減ったり体脂肪が増えたりすることはありません。
体型を左右する最大の要因は、特定の「油の種類」ではなく、以下のバランスです。
- 総摂取カロリー
- タンパク質の摂取量
- 運動習慣
これらが整っていれば、食事に含まれる適量の飽和脂肪を過度に恐れる必要はないのです。
3. なぜ「飽和脂肪=悪」というイメージが定着したのか?
飽和脂肪がこれほどまでに嫌われるのには、ある「正体」が隠れています。それは、飽和脂肪が多く含まれる食品の顔ぶれにあります。
真犯人は「超加工食品」
飽和脂肪が多く含まれる食品を思い浮かべてみてください。
- ドーナツやケーキなどの菓子類
- ポテトチップスなどの揚げ物
- ファストフードのバーガー
これらは「超加工食品」と呼ばれ、大量の糖分や塩分、添加物が組み合わさっています。飽和脂肪が健康に悪いのではなく、「飽和脂肪を多く含むジャンクフード」が健康を害しているというのが現代の解釈です。
結論:大切なのは「リアルフード」を選ぶこと
飽和脂肪そのものを目の敵にする必要はありません。大切なのは、加工された食品ではなく、自然な食材(リアルフード)から栄養を摂ることです。
【摂取の目安】 健康リスクを抑えるための目安は、総カロリーの10%程度(成人で1日約25g前後)です。これは、ステーキや鶏肉、卵などを普通に楽しむ分には十分収まる範囲です。
「脂身を削ぎ落とす」ことに神経質になるよりも、加工食品を控え、お肉も魚も野菜もバランスよく食べる。そんなシンプルな食生活こそが、理想の体型と健康への近道です。
